アデル、ブルーは熱い色(2013年 フランス)
アデル、ブルーは熱い色
序章
ねじれた恋愛ものかと思っていたら、すごくストレートな物語だった。恋愛物語でリアルなエロティックシーンがあると言うことで話題になった3時間近くある長編仏映画。原作はフランスのグラフィックノベルつまり漫画。
難解な内容のものが多い仏映画。この作品は扱っている内容こそ難しいが、物語として分かりやすく映像もお洒落。主人公たちの高校時代から社会人になり過ごしゆく日々を描くロマンス映画で良作だった。
一章 〜ストーリーは控えめに〜
読書が好きな女子高生が横断歩道で見かけた青い髪の女の子になんか惹かれてしまい気になって仕方なくなった事がきっかけで「自分はなんか周りと違うんじゃないか?」と悩み出す事から始まる物語。
二人をとりまく友人、家族、職場での人間関係や、互いの物事の考え方、家庭環境の違いなどがユーモアにあふれる会話や映像で語られる。
2章 〜あのベンチ〜
映像的にも感情的にも美しいシーンが多い。個人的には実存主義についての会話を交わすベンチでの場面は特にそうだ。
「実存主義?は?何それ?」って人のために…
「あの猫はおとなしいから可愛い」じゃなくて、「猫はみんな可愛い」みたいな考え方のことです。
この映画で言うと
「考え方や感じ方が普通じゃないって言われる。自分でも不安になったりする。やっぱ無理やり周りに合わせてやっていくしかないのかな?しんどい…」
「いや、そうじゃなくって人と違うことも良いもんだから自身を認めてあげて楽しくやっていこうよ。」
と言う風な事だが、これは状況や立場によっては難しく、実際に実行するにはなかなか勇気がいる事も多いと思う。
このベンチのシーンは問題を抱える二人の会話の後に光と影の演出で希望を感じさせる非常に美しいシーンだった。
近づいた互いの顔は逆光で翳り、その隙間から差し込む輝く夕日…互いに影を抱えていても光(希望)に照らされていて、なおかつ見ている方にも光が当てられている。素晴らしい。
ふるえる。
最終章 〜エンディングは感想で〜
濡れ場シーンは話題になるのも理解できる。綺麗な俳優が一糸まとわぬ姿で乱れるのは圧倒される。同時に「演じるのは精神的に物凄くしんどいだろうな」と思う。個人的にはこういったシーンが多い上に生々しく、長過ぎて観ているのがしんどくなってきたりもしたが、最後まで見る事が出来た。
それはストーリーテリングや映像美はもちろんだが、何よりも登場人物たちがとても魅力的なのと、彼女たちの真っ直ぐな気持ちが尊かったからだと思う。恐ろしくゆっくりとしなやかに打ち出されるストレートパンチのような良い映画だった。
終わりに
流石おふらんす映画。苦手な人も多いと思うが、時間に余裕がある時に見ると非常に良い。作品によっては忍耐が必要なものもあるが、脳の筋トレとして鑑賞すると良いと思う。ジェム・サ!
映画
原作の漫画